lapracot

仮運用中

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居所を別の寮に移して一週間が経った。けっこう快適。入居した翌々日に近くで感染者が発生してしまって、4階の別部屋への隔離に巻き添えをくらってしまった。それでも高層階は空が大きくて眺めがいい。ベランダにはおなかの高さほどの柵があるが、それと天井とをつなぐように別途網がかけられている。邪魔でしょうがない。洗濯物を落としたら取りにいけばいいだけだ。あるいは人が落ちないように、落ちられないようにするためかもしれない。いずれ落ちたくなるのかもしれない。学校の相談室はかなりしっかりしているようだが、寮にはそんなものはない。せいぜい気をつけよう。

この街はアホみたいに監視カメラがある。繁華街・大通りはともかく、ちょっと古そうな集合住宅の柱にも銀色の銃身(にしては太い)のようなカメラがついているからびっくりする。もちろん寮の天井でも、黒色のカプセル越しに睨まれている。


授業も始まった。気づけば理工系科目ばっかりやってたから、人文系に触れるのもいい。昨年までは知っている本を書いた人が教鞭をとっていたようだが、今年は講義を持っていないようなので残念。他大学の所属で聞いた名前が数年経つとここに異動していたりする。面白そうな講義が面白くなかったり、その逆がわりとあるので、いろいろ受けてみて考える必要がある。フランス語を取ることにした。基礎的なやつ。フランスとその文化について知ってること〜って聞かれても、French Houseしか知らんので困る。料理もフランスパンとフレンチトーストしか知らないんだから…。講師がたまたまグレーバーの訳者だった。いやー、いいかげんそろそろ読んでみたい。

履修を組むにあたっては、さしあたり面白そうなものを放り込んでいる。いわゆる楽単などは考慮していないのでちょっと心配だし、そういうのを考えすぎるのもいかがなものかと思ってしまう。自分は基本的にフラフラしている一方、ある種の話題については動機の純粋さというか、道徳的なインテグリティをやたらと重視する癖があって、端的にいえばそれが要領の悪さにも寄与している気がする。逆にその癖のおかげでうまくいっていることがあまり見えてこない。


嘔吐のあとに買った『ゲルマニア』を読み切った。構成はちょっとあっさりしてるけど、都市の描写には満足した。その主人公がよくクラシックを流していたので、なんとなくクラシックを聴く気になって(何気に初めてのことだ)、Spotifyで適当に漁った。Suite bergamasque(ベルガマスク組曲)・En bateau(ボートにて?)・白鳥の湖とかいいな。人で言えばドビュッシー、ラモー、チャイコフスキー? あんまり有名なところだと編集された(商業化された)のをずっと聴かされているから、素直に向き合えなくてつらい。